クロの身体の深い場所へ――、
襞を押し広げるようにしてイトを受け入れる。

【クロ】
「ぅ、ぁ、ぁ、ぁあ」

思わず、声が裏返った。
涙が滲んで、頭と視界がぼやけていく。

自身のよりひとまわり大きい楔を全部打ち込む行為は、クロの想像よりもずっと時間がかかる。

【クロ】
「ぁ、……は、……」

ゆっくりと肉壁がなぞられ、否が応でも形を変えさせられていく感覚に、苦しげな吐息が何度も漏れた。

他の雄の生殖器が、熱が、自身にはまり込んでいく痴態は、同じく雄のクロにはどうにも言い難く、眉を顰める。

それでも、これはクロ自身が決めたことだ。

【クロ】
「ぁ……は、……ん、ぁあ……」

意外にも、最後までペニスをのみ込んでしまえば、痛みは随分と楽になった。

下腹部の圧迫感は半端なく、苦しくて、密着する粘膜が痺れてはいるけれど。

でも、クロは気づいていた。
奥深いところから湧き上がってくる疼きを。
本能のまま曝け出された快楽を。

泳ぎは得意なはずなのに、その波に溺れそうになる。

クロの身体は変化しているのだ。
イトとセックスするために。

【クロ】
「……イト、どきどきしてる……」

激しく波打つ鼓動をヒレに感じて、イトが生きていると実感する。

それが嬉しい。
思わずクロは身体が震えた。

羞恥心など、いつの間にかどこかに消えてしまっていた。

今は、この熱を発散する身体をもっと感じたい。

【イト】
「……うっ、ぁ……」

クロに導かれるまま孔の奥まではいったイトが、卑猥な感覚に呻く。

低い囁きがクロの中をも微弱に震わせ、小さな摩擦に酩酊する。

【イト】
「ク、ロ……きみと、こんなこと、して……僕……」

【クロ】
「大丈夫。イトはただ俺を感じているだけでいいから……。……俺が、イトが汚れてないって、綺麗だって……生きているって教えてあげる……」

ちゅく、と淫らではしたない音を立てながら、乏しい知識を絞ってクロは腰を動かした。

ぬるぬると、銜え込んだイトのペニスをなぞるよう上下に動く。

【クロ】
「ッ、……ぅ、ぁ……」

初めてなのに、
こんなことをしている自分が少し怖くなる。

それでも、今はこうすることが正しいとクロは信じていた。

【イト】
「……んっ……、っ……ク、ロ……」

綺麗な眉を歪ませて、イトがクロを呼ぶ。

イトはされるがままだ。
紅潮した顔を無防備なまでクロに晒している。

でも、それがクロの庇護欲を更に刺激する。

弱った可哀想なイト。

――でも生きている。

ああ、不思議だ。
死を意識して、生を強く感じる。

痛みも、悔しさも、絶望も全て内包して、ただこの瞬間の生だけが現実で、たったひとつの真実だ。

それが今のクロとイトのすべて。


※イベントCGとシナリオは開発中のものです。