【シノ】
「それでサクサ、今日は?」

【サクサ】
「こいつらに、ほらあれ! “バブリー”を見せて欲しくてさ」

【シノ】
「バブリー?」

シノは若干の戸惑いを見せ、ゆっくりと瞬きをする。

【シノ】
「もしかしてバブルリングのことかい」

【サクサ】
「それそれ。そいつで客の心を鷲掴みしてるんだろ~」

もともと、シノのサービス精神はすこぶる高い。
3階にある水槽から1階にあるレストランを結ぶこの通路を、日に幾度も行き来しては、お客様を喜ばせている。

それに加えて、珍しい芸をするようになったと、このところ評判だ。

【イト】
「向こうでは、もうその話題で持ちきりです」

【シノ】
「はは。僕を怖がってこちらに来ない割には、みんな情報が早いなあ」

【サクサ】
「まあ、僕がいるからな」

【シノ】
「そうか。……そうだったね」

【イト】
「大丈夫、ですか?」

【シノ】
「もちろん。折角ここまで来てくれたんだ。
それくらいお安い御用さ」

シノは言うとすぐ、呪文を囁くかのように、やわく唇を動かした。

【クロ】
「うわっ」

ゆらゆらと揺れるシノの顔の中心に、空気を閉じ込めた輪っかが現れる。

光を受けて輝くリングは、繊細さと軽やかさがみえた。
灯りを背負って発光するように浮かび上がる輪郭に目を奪われる。

【クロ】
「……すごい」

【サクサ】
「さすが」

【クロ】
「なんだろ。キラキラしてる……」

クロはヒレを伸ばしてみた。


※イベントCGとシナリオは開発中のものです。